2020年05月30日

読み返す手紙(4)

 東京は暑かったけれどこちらは大変涼しく、きょうは久々の雨降りで半袖では寒くて困りました。朝、机の上に6万円置いてきたの分かりましたか?夏休みまでまだ日がありますが、こちらへ帰る時にガスレンジのところをきれいにしてきて下さい。明生が数学で追試を受けました。夏休みにバイトをしてギターを買う予定だったらいのですが、それはやらせないことにしました。何としても平均点くらいは取ってもらわなければ。外は蛙の声がうるさいほどです。
      昭和47年6月29日            母より


 東京は蒸し暑く、頭はクラクラ、体はだるく、死にそうになります。買ってもらった扇風機をブンブン回しています。銭湯は48円もするので毎日は行けないから、体と髪を丁寧に洗って、いつもゆっくり1時間くらいはねばっちゃう。
 お母さんがせっかく上京してくれたのに、親孝行らしきこと何一つできなくてごめんなさい。6万の内訳は、8月分の部屋代と生活費、それに9月分の部屋代ですね。それにしてもちょっと多いです。助かるけど。
 明生のこと心配ですね。私も理数系は全くダメだったから本人も焦ってるはずです。バイトはさせないで、問題集を解くように言って下さい。6月分の収支明細はまた2、3日中に報告します。夏休みはなるべく早く帰るようにします。
      昭和47年7月4日             れい


 またハガキが行き違いになりましたね。7月に入りこちらも急に暑くなって、毎日汗かいて、フーフー言ってます。東京だったら1週間も住めないなぁと思いました。兄さんからは、8月4日から27日まで中国へ行くと連絡がありました。明生宛に励ましのハガキを書くよう頼んだのに、それはちっともしてくれません。
 明生が軽井沢へ行きたいと言っていますので、1泊できる日を知らせて下さい。義兄に会社の寮を頼んでみます。明生は母さんとよく話をするようになりました。あと3年経って僕が東京の大学へ行くようになったら母さんは寂しいだろうな、と言うから、東京へはやらないよと答えて、ふざけ合っています。なかなか面白くていい子です。時々二人で夕食を食べに行きます。先日は厚さ2cmもあるようなビフテキを食べ満足そうでした。1700円もしました。
      昭和47年7月5日             母より


読み返す手紙(4)


 
私が上京して最初に住んだのは、池袋西口からバスで数分の要町。
おそらく両親は、兄の下宿先から近い方が安心だと思ったのでしょう。
新築3年目というお米屋さんの2階で、お店の脇の外階段から上がります。
部屋は6畳の和室。廊下に流しがあって、廊下の突き当りがトイレ。
隣の部屋は、めったに顔を合わせないその家の息子さんが使っていました。

毎月現金書留で、家賃¥15000+生活費¥25000=仕送り¥40000を
送ってもらいました。周りの友人に比べたら多かった方かもしれません。 





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Posted by レイア at 14:28 │家族の手紙